AIと大学教育全般の動き
— その中で英語教育に何ができるか

トム・ガリー
東京大学 名誉教授
東京大学 グローバル教育センター 特任教授
東京都市大学 教育開発機構 特任教授
JACET AIと大学英語教育研究会
2026年7月17日

はじめに

『AIと大学英語教育 次のステージへ』を拝読
執筆時点での貴重な第一歩
教室でのAI活用の実践知
本日は、その先へ

5つの話題

1研究プロセスの自動化
2情報系の激震
3全学的危機
4言語をめぐる問い
5職場・キャリア・学生の不安

1 研究プロセスの自動化

アイデア → 文献調査 → 実験 → 執筆 → 査読
Nature掲載(2026年3月)

自分の実験から

学習者向け和英辞書(2026年1月〜)
エッセー執筆の自己改善システム(2026年3月、未公開)
人文・社会系の自律的研究・論文執筆(2026年5月、未公開)

利用しているツール

Claude Code(AIプログラミング)
GitHub(コード・文書の管理)
LLM-wiki(知識データベース)

2 情報系の激震

米国学部CS:−8.1%(2025–26、全分野で最大)
大学院CS:−14%
62%のプログラムが減少
理由:初級職消滅という「認識」
学生は足で投票する

日本の情報系教員との会話

2025年〜「プログラミングを教える必要はあるか」
IT職場:AIコーディングへ移行
反論:基礎なしに出力は判断できない

3 全学的危機

全学部・全科目に波及
生成物で学力・努力を評価できない
大教室・オンラインでは特に困難
対面試験・口述試験・プロセス評価へのシフト
グループワーク・PBLなどの導入

4 言語をめぐる問い ―「英語は必要か」

機械翻訳・同時通訳の汎用化
「英語を学ぶ意味は?」という問い
教育制度への圧力

英語以外の言語

在留外国人 412万人(2025年末、過去最多)
中国語・ベトナム語・韓国語・ネパール語…
多くの在日外国人に英語は届かない
AIなら母語で対応できる
多言語AI活用は未開拓のスキル

5 職場・キャリア

就活生の76.2%が生成AIを使用
ES・面接対策・企業研究
新卒・初級職からAI利用が浸透
企業が求める「AIリテラシー」
教室の外の話ではない

学生の不安と教員の不安

教員:「AIを使うと学生は書ける(考える)ようにならない」
学生:「AIを使うと自分は育たない」
同じ不安
だが学生は全科目・人生全体を指している

転換

英語・ライティングは最初に直撃された
= 最初に対処してきた
課題設計・評価設計の実践知が既にある
英語教員は全学で最も経験を持つ集団
英語は「解き方を知る学科」である

何が残るか

学習・評価・カリキュラムの再設計
言語運用能力・異文化能力
多言語の仲介
AIリテラシーは思考の問題である

英語教員への問い

全学の評価を、誰が設計し直すのか
AIリテラシーを、誰が引き受けるのか
学ぶ意味を、学生にどう語るのか
大学教育は、どうなるのか
ご清聴、
どうもありがとうございました
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